能登風景写真帳

能登風景写真帳 浦島五月(写真・文)

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徳光

父の故郷。砂浜の他には何もなかった海岸には、延々と
防波堤が築かれ海中にはテトラポットが埋められている。
墓参りを終えてから古タイヤのチューブにつかまって足
がつるまでハマグリを採って焼いた浜には、夏休みにな
るとサーファー達を押し退けて四輪駆動車が入り込み、
夜遅くまでバーベキューの煙が舞う。

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片野

白砂青松の地。海上から眺めると青い海の先に白い波と
砂浜そして黒々とした松林が連なり海水浴場が転々とす
る。大正期には一面の砂丘だったところに植林したとい
う松林を越えた先にある鴨池では、秋になるとシベリア
からの渡り鳥が羽を休める。ロシア船ナホトカから流出
した重油はこの一帯にも大量に漂着し砂浜の下に埋めら
れた。

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七尾

能登の中心都市。古くからの港。横綱輪島の出身地で夏
になるとアマチュア相撲が開催される。七尾湾に面して
和倉温泉があり、観光客のために水中遊覧船も運行され、
冬には海上遥か富山湾越に雪の立山が姿を顕すという。
冬は鰤の定置網、夏の海はクラゲのお花畑だ。。

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美川

手取川河口の港町。北前船の寄港地であったせいか鯖や
鰯だけでなく鰊の糠漬けが旨い。「となりの町には映画
館」と歌った淺川マキの生地だが地元での人気はあまり
芳しくない。春の祭りが近づくとスベリ漁が始まり、ボ
ラをねらって投網を打つすぐそばの橋の下ではラッパの
練習が聞こえてくる。

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小舞子

名前の通り小さな海水浴場。かつては夏だけの臨時停車
駅が松林の中にあった。オバちゃん、焼きソバ、生ビー
ル、二軒だけ残っていた浜茶屋も今年の夏には取り壊さ
れ、そのあとには地元出身の国会議員の記念碑が建てら
れている。

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珠洲

能登半島先端の町。過疎の町に原子力発電所建設計画が
持ち出されている。丘陵に開かれたハーブ園では町の年
寄達がいきいきと働いている。珠洲の焼酎チョンガリ節
のチョンガリはじょんがら節のことだと武内氏よりメー
ル。じょんがらは加賀平野では古くから盆踊りに歌い踊
り継がれている。

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吉崎

蓮如上人御坊跡。北陸への真宗布教のため近江堅田から
吉崎へ進出した蓮如が道場を定めると瞬く間に坊主百姓
が集まり町ができあがった。一向一揆建国前史。大聖寺
川を船で下る門徒で賑った町のすぐ裏にはゴルフ場が切
り拓かれ芝が広がる。

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手取川

一級河川。暴れ川と言われ昭和に入っても大氾濫を起こ
し、流された橋のスケッチが呉竹文庫に残る。織工達の
最後は母から伝え聞く。上流にダムを造って洪水は無く
なったが地下水位の低下と海岸線の侵食が深刻になって
いる。河岸整備工事のため小魚はいなくなり鮎や鮭が放
流されている。中流域一帯には酒造店が点在する。